HYPERCO

LAP.15 スプリングの長さによる車高変化 @ (ネジ式車高調の場合)



最近、HYPERCOの購入を予定している方々や、すでにHYPERCOを購入していただいたユーザーの方々から、「スプリングの長さと車高の関係」についての質問がよくあります。今回から数回に分けて、このことについてわかりやすく説明していきたいと思います。


まず、ネジ式の車高調(全長調整ではないタイプの車高調)のお話しから。


下図をご覧下さい。


         



一般的な、車高調ですよね。


で、車高はどこで決まるのかと言いますと、1G状態の A の長さで決まります。
たとえば、車両からダンパー&スプリングを取外した状態での、 A の長さが700mmとして、それを車両に組み込んで、ジャッキから降ろしたら(1G状態)、車重がダンパー&スプリングにかかり、スプリングは縮みますよね?このとき、100mm縮んだら、 A は600mmになります。この600mmという長さが、直接、車高を決めます。


もし、500ポンド(8.9kg/mm)のスプリングから、600ポンド(10.7kg/mm)のスプリングに交換したら、1G状態で以前ほどスプリングは縮みません。


ですから、たとえば、500ポンドなら600mm、600ポンドなら620mmといったように、レートが高くなると、 A の長さが長くなり(スプリングが縮みにくくなるから)、その結果、車高は上がってしまいます。


また、400ポンド(7.1kg/mm)といった、やわらかいスプリングレートに交換すれば、1G状態でたくさんスプリングは縮み、 A は、580mmといったように、短くなることから、車高は下がってしまいます。
(そう、よくスプリングレートを下げれば車高が下がったなんて聞くでしょう?)


そこで、車高調整用のスプリングシートが上方に移動するようにグルグル回すと、スプリングシートから下の部分 B が伸び、その結果、 A の長さが長くなり、車高が上がる仕組みになっています。




ただ、ここで車高を上げると、スプリングにプリロードがかかってしまいます。
プリロードとは、車両からダンパーを取外した状態で、スプリングをダンパーにセットする時、ちょうどスプリングにスプリングシートがあたった場所で固定(ゼロタッチプリロード)するのではなく、あらかじめスプリングを縮めた状態でセットする方法です。


たま〜に、スプリングをスプリングシートにより巻き上げると、 C が短くなるという人がいますが、これは間違いです。 C の長さは、スプリングにかかる荷重により決まりますので、スプリングシートを巻き上げると、 C の長さは変わらずに、 B が長くなります。そのため、結果的に A が長くなる(車高が上がる)のです。
(1G荷重以上のプリロードをかけた場合を除く)



いかがですか?
なんとな〜くわかっていたような気がしていた人は、スッキリしたでしょう?


では、次回は、車高を下げる場合のことを説明します。

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