今回は、全長調整式車高調のお話です。 全長調整式の場合、車高は2箇所で変更することが可能です。 @ネジ式車高調と同様、スプリングシートの位置で車高を変更。 上図のように、スプリングシートの位置を下げる事によって、車高が下がります。 ただしこの場合、元々がゼロプリロードで組まれていた場合は、ジャッキアップ時に上右図のように「スプリングの遊び」が発生してしまいます。 Aダンパー下部にある調整部分の位置で車高を変更。 上図のように、ダンパーの長さ自体を短くする事によって、車高が下がります。 ここの長さを調整して車高を変更させると、ネジ式車高調で発生する「スプリングが遊ぶ」といった問題が発生せず、単純に車高のみを変更できることから、現在、数多くの全長調整式車高調が販売されています。 もちろん、ダンパーの長さの調整範囲であれば、スプリングも遊ばせずに車高を下げたり、プリロードをかけた状態で自由に車高調整ができるので、セッティングの幅も大きく広がります。 では、ここからは、最近かなり質問の多い、現在装着中のヘルパースプリングを取外し、メインスプリングだけで使用する場合の車高についてお話しましょう。 たとえば、7インチのメインスプリングに、ヘルパーを装着して、今、ちょうど良い車高のクルマがあると仮定してください。 まず、物理的な話から。 下図を見て下さい。 ネジ式車高調の場合は、このようにヘルパーを取り外し、メインスプリングが遊ばないようにロアシートを調整して組む限り、どんな長さのスプリングを使用しても、元々のヘルパー装着状態から車高は上がります。 そして、下図を見て下さい。 車高の上がる量を調べるには、まずジャッキアップ状態の「D」の長さから、ジャッキから降ろして、1G状態になった時の「D」の長さ(ヘルパーが線間密着したときの長さ)を引いて下さい。 そう、ヘルパーのストローク量を計算するのです。 この数値を、カタログ等に記載されている、サスペンションレバー比で割った数値が、車高の上がる量となります。(ストラット形式ならサスペンションレバー比は、ほぼ"1"となりますので、ヘルパーのストローク量=車高変化量と考えてください) また、全長調整式のダンパーでも、ヘルパーを取外し、メインスプリングを遊ばない状態でセットすると、ネジ式車高調同様に車高は上がります。もし、ヘルパー付きの状態と同じ車高にしたいのなら、上記「D」の長さ分だけ、全長調整機能により、ダンパーを短くセットする必要があります。 次回は、ヘルパーを取外した時に適合するスプリングの長さについてお話します。