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LAP.16 スプリングの長さによる車高変化 A (ネジ式車高調の場合)


今回は、スプリングシートで車高を下げる時のお話です。


ネジ式車高調ダンパーで、車高を下げる場合、スプリングシート位置をゼロタッチプリロードより下にしてしまうと、ジャッキアップした時に、スプリングは遊んでしまいます。


レーシングカーでは、スプリングが遊んでいることはよくあることですが、一般車では、車検に通らないとか、おまわりさんに怒られることから、この問題を解決するために、ヘルパースプリングが使用されます。ヘルパーを使えば、スプリングシートを巻き下げても、ヘルパースプリングが、それをカバーしますので、遊びは発生しなくなるという訳です。この場合、ヘルパーの下にあるスプリングシートの位置で、1G状態での A の長さが決まります(下図参照)。


                   


ただ、車高を下げることを優先して、車両からダンパーを取外した状態で、ヘルパー部分があまりにも長いと、それはそれで問題です。なぜなら、本来のスプリングが1Gの時に縮む量と、ヘルパーが縮む量の合計分だけ、ダンパーはストロークしますので、1Gの時のダンパーピストン位置は下へ下がります。そうなると、ダンパーの有効ストロークが減少してしまうので、これには、十分に注意が必要となります。


ヘルパーを使用する場合は、ダンパーのストローク量を必ずチェックして使用することが前提となります。





では、ここで問題です。


ここに、同じレートで全長が7インチのスプリングと、8インチのスプリングがあったとします。このスプリングを同じようにゼロタッチプリロードで組んだとしましょう(ヘルパースプリングは使用しない)。


この場合、車高はどのように変わるでしょう?


@ 7インチの方が高くなる。
A 8インチの方が高くなる。
B 変わらない。




<正解はコチラ>









































































答えは、Bの「変わらない」です。


なんだか、7インチのスプリングより、8インチの長いスプリングの方が、「車高が高くなる」と思っている人が多いような気がしますが、正解は「車高は変わらない」なんです。


なぜなら、レートが同じということは、1Gでスプリングが縮む量は同じですよね。
もちろん、8インチの方がスプリングの長さが長いので、スプリングシートの位置は下にきます。
(下の図を見てください)


     


でも、スプリングシートの位置は上図のように下がっても、スプリングの縮んでいる量は同じですので、1G状態でのダンパーの長さ A は同じになります。


よって、車高も同じとなり、正解はBの「車高は変わらない」となるのです。
理解できましたか?




要するに・・・・・・


「スプリングの長さが変わっても、その位置にスプリングシートがセットできるようにダンパーにネジが切ってあるなら、どの長さのスプリングを使用しても、レートが同じなら車高は変わらない」



ということなんです。
シッカリと覚えておいてくださいね。


ただ、何とかセットはできても、あまりに長いスプリングなら、スプリングシートの下部に、あまり余裕がありませんので、セットした後で車高を下げる場合、下げられる量は少なくなります。同様に短いスプリングの場合は、セットした後で車高を上げる場合、上げられる量は少なくなります。


では、次回は全長調整式のお話をしましょう。

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