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メカニック、 長山征訓。
取付車種  BMW 318 is
車高調  コニー改+ハイパコ
フロントバネレート  13.5kgf/mm
リアバネレート  12.0kgf/mm
筑波サーキット  1分8秒370
もっとも安く、
もっとも効果的なチューンがスプリング。

TRDからBMWディーラーを経てプロショップ、グレートベアを8年前にオープンした長山氏。サーキットでも上位タイムの車輌を仕上げることで、BMW専門ショップとして全国に名が通っている。そのため顧客のほとんどがスポーツ&レーシングセットを施しているようだ。その長山氏が「サスペンションセットに関する考え方が変わった」と言う。「従来はダンパーもスプリングも混ぜて考えていたのだが、どうやらそれは違うのではないか」と言うのである。彼が打倒M3を目指し仕上げているBMWE36 1.8isの場合、リアの縮み側のストロークに余裕がない。そこでレートアップやダンパーの強化を行うことになるのが一般的だ。だが「それはストロークを作り出すためではなく、動かないようにすることでストロークを“見ない“ようにしていることに他ならない。したがって足のセットが解決されたわけではない」のである。またストロークの少なさによって「スプリングの線間密着を起こしてしまう」のだ。こうして数種類のダンパーをセットし、またそのチューニングも行った。が、どうにも満足ができなかった時に「あらためてスプリングを主体に考え直した」のであった。ここで選択したのが、本紙記事によって注目していたハイパコだったのだと言う。318isの設定レートは、フロントが13.5kgf/mm、リアが17.9kgf/mm。「底付き感もなくリニアに捉えやすい乗り味になった」と評価する。ハイパコを基点にダンパーをセットアップ。現在は、コニーのケースを用いて中身をセットしたオリジナルを使用。ほぼ納得できる状態なのだとか。「足をちゃんとストロークさせたい。それでいてブレーキや旋回Gにくじけない足がクルマを安定させ速くする」。メカニックであり、自身もレースに参戦する長山氏の言葉にBMWのセット方向が見えるようだ。その長山氏がハイパコについて語った言葉が印象的だった。「他社製品と比べハイパコの価格は高い。だから最初はお客様も理解されなかった。しかしスプリングは重要な機能パーツの中でもっとも安いもの。それでいて明らかに違いが分かるパーツでもある。つまり、もっとも安価で、もっとも効果が出るチューニングパーツだと思う。サスペンションへの考え方をお話しすることで納得していただいている」と言う言葉のように、全セットがハイパコを中心になされていた。ちなみにM3の場合のレートは、フロントが17.0kgf/mm、リアが20.0kgf/mmになるという。


 
IT開発・コンサル、 小澤勝彦。
車高調  クアンタム+ハイパコ
フロントバネレート  8.0kgf/mm
リアバネレート  12.0kgf/mm
筑波サーキット  1分3秒795
筑波サーキットの
最終コーナーが変わった。

小澤氏のポルシェ歴は19年前の944からだった。その後944S2へ進み、1997年に現在の993カレラSを手に入れた。当時、愛車の買い替えを考えていた時に出会った944は、都会的な洗練性を備えており一目惚れだったのだとか。しかし、ポルシェオーナーの誰しもがそうであるようにRRへの道を小澤氏も歩み993カレラSへと到達したのである。その印象は「まるで化石だと思った」と言うほど944の洗練性から遠かった。ドライブポジション、ステアリング、ペダルなどを「非人間的」に感じてしまったのだ。が、「乗ると“その気”にさせる、魂を揺さぶる不思議な魅力がRR系のポルシェにはある」と言う。そこで、バケットシートへの交換と乗車位置の見直しなどを行い、2006年、アイドラーズの9CUPにデビューしたのであった。小澤氏の993カレラSへのチューニングスタイルは「すぐにノーマルへ戻せること。つまり内装の剥離や天板の軽量化などではなく、スポイラーや足まわりのセットのみを行うことにしている」のだと言う。したがって、エクステリアはフロントスポイラーの交換に留まり、足まわりのセットが大きなファクターとなる。しかし当初設定されていた純正スポーツキットでは、筑波サーキットの80Rや最終コーナーへの進入おいて、アクセルとステアリング操作がシビアとなり不安感もあった。「純正は、バネレートの変化がスムーズではなくある点で急激なレート変化があるように感じた」のである。
 そこで、英オートの山崎氏に足まわりのセット修正を委ねたのであった。簡単に述べると「993のリアに関しては、キネマチックトゥ設定の為の特殊ゲージを使う必要がある。これによってサスペンションジオメトリーを調整しキャンバーやトゥを設定。キャンバー値を上げることで結果としてホイールベースが若干伸びることになる。こうした基本設定が大切である」と語る。この時に採用したスプリングがハイパコだった。「コーナリングの進入から通過/脱出という一連のプロセスは、バネレートの変化プロセスでもある。この変化がリニアになることでクルマが安定し、ひいてはドライバーに余計な負荷をかけず楽しめることになる」のである。「筑波サーキットの難所である80Rも安定し、最終コーナーへのブレーキングも、50m地点でのブレーキ優先からステア優先&30mでのブレーキングが可能になった。ハイパコ装着と足まわりのセット変更後1.5秒もタイムアップした。熾烈なアイドラーズポルシェの闘いでそれは大きい」という小澤氏の言葉に、ハイパコの貢献が表れているようだ。


 
局長、 鈴木尉友。
車高調  アラゴスタ+ハイパコ
フロントバネレート  7.0kgf/mm
リアバネレート  9.0kgf/mm
キャンバー&トゥ角  純正状態
軽量車だからこそ、しなやかさがいる。

メタボで不健康。これが現代のオジさんの条件である。某広告&プロモーション代理店に勤務する鈴木氏もこの条件にピタッとあてはまると笑う。そこで鈴木氏は一念発起。体重を落とすのは時間がかかるので、まず愛車の体重を軽くしようと考えたのだという。その視点で選択したのがロータスエリーゼだった。決め手になったのは左ハンドルということ。英国車なのだが、外車は左ハンドルというオジさん世代の思考に忠実な選択である。これまでの鈴木氏の愛車はインプレッサやフェラーリ。車種的脈絡はないのだが、休日の早朝からさまざまな峠道に出向き、ウイークディのストレスを開放し楽しめるための愛車であることが条件となっている。その楽しみ方は、とにかくアクセルを踏むこと。クルマのパワー・パフォーマンスに包まれることであった。が、前述のような理由でライトウェイトモデルを入手してしまった。軽いボディ、低パワー。これまでとは正反対の愛車となったのである。もちろん、これまでのようにパワーで「ごまかす」ドライビングはできない。「軽いクルマだからアクセルのオンとオフがはっきりする。アクセルだけではなく、ブレーキングもコーナリングも挙動がはっきりする。だからこそ、しなやかな足まわりの大切さが分かった。ハイパコの違いが分かった」のだという。当初、鈴木氏はハイパコに懐疑的だったと語る。「友人が、パッケージデザインが前後で違っていたり、左右で巻き数が違っていたということから、国内で作ったものが混じっているのではないかと噂していた」というのだ。この疑問は、足まわりのセットで信頼しているプロショップオーナーの「レースフィールドを主戦場とするハイパコは、特定のレート製品について鋼材の見直しや巻き数の見直しを年に数回もして、製品力を向上させている。もちろん本国で生産しているし、レートもしっかり守られている。同じ仕様やデザインの製品で揃えることもできる」という言葉で氷解したのだとつづける。いま、鈴木氏は「クルマの加速感を楽しむことから、愛車の動きを楽しむことへ移行した」。そこで「これまで充分には意識しなかったリニアということの大切さが分かった」という。リニアとは「直訳ではなく翻訳すればしなやかな自然体ということなのだろう」という鈴木氏の言葉がハイパコの狙いを表しているようだ。


 
フロントマン、 入江 武。
車高調  オーリンズ+ハイパコ
フロントバネレート  20.0kgf/mm
リアバネレート  16.0kgf/mm
キャンバー  F-3°50′/R-2°00′
トゥ角  F-2mm OUT/R-1mm IN
あ、足の動きが単純になった。

ほぼ通勤。ときどき首都高/湾岸。稀にidlers Games GT Street-2クラスにエントリー。これが入江と愛車スープラの“ライフサイクル”である。いってみれば普通のサラリーマンのクルマ趣味といったところである。が、こういう使い方が、じつは足まわりのセットがむずかしい。どのシーンに特化しても帯に短かし襷に長しということになってしまう。かといって、某メンテナンスファクトリーにおいて顧客ファーストコンタクトポイントとなるフロントを勤める入江にとって、ぶざまな姿も見せられない。また、同じような課題や要求を持つ顧客に対し、事実に基づいたコンサルテーションもしなくてはならない。そんな課題解決の方法を模索している時に、本誌がポルシェ4台で行なったテストを見て、ハイパコ購入を決意したというのである。従来のスプリングは、ダンパーとセット販売されているものだった。その印象を「複雑な角がある」と入江は表現した。「継ぎ目を通過する時など、ボディにガグッと影響があるようなイメージ」だという。また、「サーキットでは、足は突っ張っているのだが、旋回Gを受けると戻ってこない感じ」で怖かったのだとか。しかし、そもそも重量級のスープラ。“ほぼ通勤”ということからも分かるように、内装もエアコンもばっちり付いたまま。「こういうクルマだから、何を使ってもジャストピンが来るとは思っていなかった」のだと振り返る。が、そこは本誌を信じてハイパコを設定。「これまでとは、まったく逆だった。足が突っ張っている感じがしない。それでいて、スッと入ってスッと戻るイメージになった」のだと言う。「サーキットで、きっとタイヤが使えるようになったのだと思う。それだけ足が動いているのだと実感する。動いているのに安心してドライブできる。きっと、最初からハイパコの人には、スプリングだけでこんなにもちがってくるという感動は分からないのだと思う」とつづける。「動きが単純になった」インタビューの間に入江が何度も言った言葉がキーワードのように思えた。


 
医学博士、 大野俊哉。
車高調  オリジナルダンパー
     +ハイパコ
フロントバネレート  16.0kgf/mm
リアバネレート  26.0kgf/mm
キャンバー  F-3°30′/R-3°50′
トゥ角  F-0°/R-15′IN
おお、バネだけでこんなに変わるのか!
高速コーナーの安定性を手に入れ、
筑波57秒切りへ。

idlers Games Supercup SSクラス ゼッケン1番。エースナンバーを胸に2008年シリーズを闘った2007年度シリーズチャンピオンが、大野とその愛車964ボルトオン・ターボである。筑波1分のポルシェがひしめくこのクラスにおいて、コンスタントに表彰台に立つことを実現した者だけが手にすることができる栄光。それがシリーズチャンピオンである。求められるのは、瞬間的な速さではなく、速さを強さに変えること。そのために試行錯誤したのが、ボルトオン・ターボの弾けるパワーを受けとめ、蹴り出す力に変える足まわりの設定であった。まず行なったのが、アブソーバーの見直しである。が、「筑波の80Rから先と最終コーナー、もてぎの130Rから先が、どうセットしてもリアが落ち着かない。だから、こういうものだと思っていた」と大野はいう。しかし、「シビアなクラスで強敵と互角以上に闘うには高速コーナーでの安定性こそ欠かせない」。また、「予算的に路面状況に合わせて細かく足まわりの設定変更をできないという条件下で、常に1分切りのパフォーマンスを発揮せねばならない」のである。だからこそ、ターボの特性を活かした、コーナリング後半から脱出への姿勢と加速を受けとめる足まわりが必要なのである。こうして着目したのがスプリングという機能であった。「アブソーバーのブランドや仕様にはこだわっていたのだが、バネについてはどこも同じようなものだと思っていた」と大野。そんな時、アイドラーズマガジンが行なった筑波実走テストに参加した際に出会ったハイパコは「おお、バネだけでこんなに変わるのかと思った」のだという。ハイパコを装着したことで、筑波サーキットを59秒で、そして、フジを1分48秒台で周回できるようになった。次の目標は、筑波を58秒台でコンスタントに周回し、コンディションによっては57秒台に入ること。そして、フジを1分46秒台で周回すること。しかし「もう確信できている」と大野。後付けのターボによってハイパワー化はなされているとはいえ18年前の車体。そこに安定した強さを提供した一本のスプリング。ここにもハイパコの証明があった。


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